●製造者:霧島酒造株式会社
宮崎県都城市下川東4丁目28番1号
●品目:本格焼酎
●原材料名:さつまいも(九州産)、米こうじ(国産米)、芋こうじ
●アルコール分:25度
●内容量:200ml
(以上、包装フィルムより転記)
《初回記事はこちら》
《焼酎》5.白霧島 200ml(2017年09月23日)
先週末にいただいた黒霧島に引き続き、今週末も霧島酒造さんの芋焼酎をいただきます。
今日いただくのは、
“白霧島”。
黒霧島は黒麹を使用しているのに対して、白霧島は白麹で造られている。
たしかにそうなのですが、この両者、生まれも育ちもぜんぜんちがいます。
1998(平成10)年に発売開始された黒霧島。
飲みやすさを追求すべく、芋臭さを除去して新規に開発された商品でした。
一方でこの白霧島は、2015(平成27)年に、
もともとあった“霧島”という商品をリニューアルして登場したのでした。
「 2015年1月。霧島酒造は大相撲の優勝力士である横綱白鵬をCMに起用し、芋焼酎「白霧島」をリニューアル商品として発売した。初代吉助の時代から続く定番商品の芋焼酎「霧島」の風味を改良し、都会向けにロックでも飲めるよう調整した。使用する酵母を変え、コクと甘味を高めた。
白鵬の地元モンゴルでCMを撮影し、白霧島のキャッチコピーは「どしっとほわんと」に決めた。都内で開いた商品発表の場で、白鵬は「宮崎の焼酎は全部好きですけれど、白霧島は特に飲みやすいです。皆さんにも味わっていただきたい」と持ち上げ、専務の拓三と乾杯してうまそうに啜った。
地元宮崎では霧島はかねてから「シロキリ」の愛称で通っている。過去、数量の関係で東京では拡販ができなかったが、リニューアルを機に商品名も白霧島に変更した。」(※1)
(※1)の記述から、以下のことがわかります。
(1)もともと“霧島”という商品が存在した。
(2)“霧島”の風味を改良すると同時に、名称を“白霧島”に変更した。
(3)白鵬曰く「白霧島は特に飲みやすい」
(1)については、別の文献にも記述がございました。
これによれば、“霧島”は、少なくとも昭和24年以前から存在していた銘柄であるとのこと。
「 一九四九(昭和二十四)年には法人免許による霧島酒造を設立、“近代化”への第一歩を踏み出す。製品は芋焼酎に絞ることを決め、銘柄も「霧島」に一本化した。」(※2)
その伝統ある“霧島”を、なぜ“白霧島”へとリニューアルしたのでしょうか?
それはおそらく、否、
十中八九、黒霧島での成功があったからでしょう。
芋臭さを消して飲みやすくした黒霧島が、霧島酒造さんを業界トップの売上を誇る企業へと押し上げた。
だから、
従来から販売していた“霧島”(1)も「飲みやすく、」改良(2)(3)することによって、黒霧島と同様に全国展開させたい。
そういう狙いがあったと推測することは、けっして邪推ではないと思いますけれどね。
品質表示を見てみると、
米こうじと共に芋こうじを用いていることがわかります。
芋麹については、文献に以下の記述がありました。
「米麹の代わりに芋を麹とする場合は、(中略)四角くカットされ、乾燥した芋を使用する。米に比べてべたつく、原価が3倍程度高くなる、などの理由であまり頻繁に使用されることはなく、一部の焼酎に使用される。」(※3)
「芋焼酎の仕込みに芋麹を使わず、米や麦麹を使う理由は、さつまいもは蒸すと固まる性質があり、付着させた麹菌が内部に入り込みにくいから。麹菌は米や麦に付着すると、菌糸を内部にまで食い込ませる(この状態を“はぜ込み”という)ことで増殖していく。こうして完成するのが米麹だ。
さつまいもを使うと、この“はぜ込み”がスムーズに進まず、麹菌はうまく増殖しない。結果、発酵に必須の麹造りには米や麦を使っているのだ。
(中略)
しかし、最近では芋麹を造る技術が開発され、芋麹を使った芋100%の焼酎を造る蔵も増えてきている。」(※4)
要するに、芋を小さい粒に成形し、それに麹菌を付ける方法が芋麹。
でも水分量の調整が難しい。
なお、はぜ込みというのは、麹を製造する際に米や麦の中心まで麹菌が到達して増殖すること。
これを実現するために、清酒造りでは麹に用いる米を“外硬内軟”に蒸し上げることが肝要とされています。
外側が硬くて内側が柔らかいということは、外側よりも内側の水分量が多いということ。
麹菌はカビの一種、すなわち植物ですから、米の表面に付いた麹菌は水を求めて米粒の奥まで進んでいき、その結果、はぜ込みが進む。
一方で芋の場合、「蒸したサツマイモを麹原料とすると,水分が多すぎ,団子状となり,麹菌の生育が悪く,雑菌にも汚染され易い。一方,切干甘藷を麹原料とすると,切干甘藷の製造工程で原料が酸化し,製品の風味が低下する。また,酵素力価もあまり高くならなかった。」(※5)とのこと。
でもでもでも!
この水分量の調整を、見事克服なさった企業がございました!
それが、清酒“松竹梅”を造る宝酒造さん。
安価な清酒を製造するための方法として自社で独自に開発した焙炒造りが、なんと芋麹の製造方法(焙炒処理)として適していることがわかったのでした。
「「焙炒造り」とは、白米を蒸気で蒸す代わりに、高温の熱風で短時間加熱処理し(たとえば二九〇度C、四五秒間)、でんぷんをα化(でんぷんを消化しやすく糊状にした状態:ブログ筆者追記)した「焙炒米」を掛米として用いる方法である。白米にはあらかじめ二八%程度の水分を含ませてあり、褐変したり酒に焦臭がつくことはない。通常の蒸米を使用するのに比べて、白米中のたんぱく質が熱変性するため麴のたんぱく質分解酵素の影響を受けにくく、酒中に含まれるアミノ酸が少なくなるとともに、脂質も大半が揮散してしまうので、淡麗な酒質になる特徴がある。」(※6))
「焙炒処理では,原料に熱風を接触させてα化するため,α化処理後の原料水分は低下する。そのため,サツマイモを焙炒処理した焙炒サツマイモ(焙炒芋と略)は,蒸芋に比べて原料水分が低く,蒸芋麹の製造において生じた問題点を改善できると期待された。」(※7)
宝酒造(松竹梅)が安価な清酒を製造するための方法として開発した焙炒造りが、まさか芋麹の製造で役に立つとは知りませんでしたよ!
どうやら、宝酒造が世に送り出している芋焼酎“一刻者(いっこもん)”は芋麹のみを使用した純芋焼酎らしいですね。
その芋麹を用いた芋焼酎の風味について、同じ文献には以下のように書かれておりました。
「また,それを用いた純芋焼酎はモノテルペンアルコールを高含有し,芋特有の香気を強く持ち,成分的にも官能的にも従来品とは異なる特徴的なものとなった。しかしながら,米麹仕込の従来品に慣れ親しんでいる我々にとって,従来品の方に芋焼酎らしさを感じるところもあり,芋焼酎の香味の奥深さについてあらためて考えさせられるところである。」(※8)
芋麹を使用することで、“モノテルペンアルコール”の含有量が高くなるとのこと。
このモノテルペンアルコールなる物質について手元にあった文献にあたってみたところ、“モノ”とはついてはおりませんでしたが、こう書いてありました。
「これまでの研究で、いも焼酎の特徴的な香りの本体は、花や柑橘の香り成分であるテルペンアルコールであることが明らかにされた。この成分は香料の世界では、精油(エッセンシャルオイル)と呼ばれている。(中略)これら数々のテルペンアルコールが華やいだ香りを発する(黒糖、麦、米焼酎には全く含まれていない)。」(※9)
ということは、芋麹には香りを際立たせる性質があり、そのために白霧島では“芋こうじ”を米こうじと併用しているのでしょうか?
でも一方で、モノテルペンアルコールはいわゆる“芋傷み臭”の原因と書かれているものもあったりするので、いまいちよくわかりません。
というか、
そもそもオイラは私立文系大卒で、高校生の頃、化学は赤点スレスレでした。
それ故、理解できるはずがないのかもしれません。
講釈やら推測やらはこのくらいにして、
白鵬さんが「特に飲みやすい」と評した白霧島、
いただいてみましょう。
まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
上立ち香はなし。
含むと、ちょいスーちょいピリ。
芋のふっくら感が穏やかです。
それとともに、口の中で華やかな香りも穏やかに広がって、鼻へと抜けていきます。
甘みはほんのり感じる程度。
重さやクセはまったくなし。
香ばしさはかなり弱め。
口当たりはさっぱりしています。
次に、ロックで試してみました。
上立ち香はなし。
ちょいスーですが、ピリはなし。
含むと、トロリとした口当たりを感じるものの、後味はけっこうスッキリしています。
苦みが少し出て、だんだん強くなっていきました。
華やかな香りが穏やかに広がって、芋の風味も穏やかに続きます。
甘みは最初はほんのりでしたが、これも苦みと同様に徐々にはっきりしてきました。
最後は香りを期待すべく、お湯割りにしてみました。
華やかな香りが立ちました!。でも穏やかでしつこさを感じません。
その薫りは、含んでもよくわかります。
含むと、ちょいスーとともに甘みを感じます。
芋の風味は穏やかなまま。
苦みが出て、最初は軽めでしたが、徐々に重くなってまいりました。
口当たりはやはりさっぱりしていました。
穏やかな香りと共に、風味も穏やかな、おいしい芋焼酎でした。
香りがありましたが、しつこさゼロ。
風味はやはり穏やかながらも、芋の風味を黒霧島よりもはっきりと感じることができました。
それでいて重さやクセはないので、飲みやすい。
ロックとお湯割りとで苦みを感じましたが、それも風味をいい感じに引き締めているようでした。
うまいね![
確かに飲みやすいと思いますけれど、香りや風味が穏やかながらも効いておりました。
オイラは黒霧島よりも、こっちのほうが好みです。
その白霧島と合わせた今日のエサはこちら。
御臨終の油揚げ。
フライパンで焦げ目をつけて、
ぬた(酢味噌和え)。
焦げ目の付いた油揚げの香ばしさと、麦みその風味とがバッチリでした。
そろそろトマトケチャップを使い切って、新しいものに切り替えたかった酔っぱらい。
豚肉と、
野菜と、
もやしとを、トマトケチャップで炒めようという魂胆。
ハインツのトマトケチャップは、かけて食べるにはかなりおいしい!
でも調味料として使うと、いささか深みが足りないところ。
そこで深みを補うべく、愛知県の赤味噌(小さじ1.5)をみりんで溶いて追加しました。
ナポリタンのようなもの。
麺をもやしで代用したのでした。
いいね!
トマトケチャップの酸味と味噌の深みとがバッチリ!
粉チーズを用意しておきたかったところでした。
ごちそうさまでした。
(※1)馬場燃『黒霧島物語 宮崎の弱小蔵元が焼酎王者になるまで』p.196-197(2015.6 日経BP社)
(※2)『夢をかたちに 霧島酒造100周年記念誌』p.52(2016.6 霧島ホールディングス株式会社)
(※3)エイムック2089『焼酎の基本』p.015(2010.12 枻出版社)
(※4)(※3)p.035
(※5)岩崎功・山中寿城(宝酒造(株))『芋麹の利用による純芋焼酎の開発について』p.690(日本醸造協会誌第98巻第10号 p.690-699 2003.9 日本醸造協会)
(※6)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.153(2000.4 柴田書店)
(※7)(※5)p.691
(※8)(※5)p.698
(※9)鹿児島県本格焼酎技術研究会『かごしま文庫(62) 鹿児島の本格焼酎』p.109-111(2000.6 春苑堂出版)
この記事へのコメント
ma2ma2
夏炉冬扇
本棚の本、いつも気になっています。
夏炉冬扇
八犬伝
まったく記憶がないな。
ロコときどきキナコ
てんてん
HOTCOOL
ぼん
Boss365
白霧島へのリニューアルですが「黒霧島での成功があったからでしょう。」なる程です。製造法を小生は理解出来ていませんが「特に飲みやすい」のは、旨いと解釈し有難いです。ところで「御臨終の油揚げ」ですが、カビて無ければ問題なしですね。小生宅では、賞味期限切れあるあるです(爆)!?(=^・ェ・^=)
skekhtehuacso
skekhtehuacso
茜とか、赤とか。
skekhtehuacso
skekhtehuacso
調べれば調べるほど、面白いのです。
skekhtehuacso
もっと出してくれればいいのに。
skekhtehuacso
むしろ好まない人のほうが多いと思いますから、その嗜好に合わせることが売れるための策となり得るのでしょう。
油揚げは、毎週こんな感じで残りますわ。
さる1号
ご臨終だなんてかわいそう
ウチの奥さんなんか1日2日過ぎただけだったら平気で使ってるし(期限表示を見ていない説あり)
いつも「賞味期限と保存期限は違う」と宣ってます^^;
skekhtehuacso
まあでも、消費期限があるおかげで使い切ろうという気にさせられるのはよいことだと思います。